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【ポリカーボネートの引っかき硬さ(鉛筆硬度)】
ポリカーボネートは力学的に非常に強くて大きな衝撃を受けても割れることがありませんが、ガラスやアクリルなど他の透明樹脂と比較すると硬度が低くて傷がつきやすい材料です。材料表面を引っかいた際に傷のつきにくさ(硬さ)を評価基準として鉛筆硬度が用いられます。鉛筆硬度とは芯の硬さが異なる(10B〜9H)鉛筆を利用して材料の硬さ(傷のつきやすさ)を評価する手法です。試験方法は木部のみ削って芯を円筒形に保った鉛筆の芯を材料に対して45°の角度で一定の力(750ｇ)を加えながら材料表面を滑らせます。芯の柔らかい鉛筆(10B)から順に試験を行い、表面に傷がついた時の芯の硬さをその材料の鉛筆硬度として評価します。ほとんどのプラスチック材料の鉛筆硬度はHB以下ですが、硬度が高いアクリル樹脂はH〜2H程度です。ちなみにガラスは10H以上の硬さです。表面に何もコーティングや加工を行っていないポリカーボネート板であれば2Bかそれ以下の鉛筆硬度なので、簡単に傷がついてしまうことになります。ポリカーボネート樹脂は柔らかさゆえに大きな衝撃を受けても割れずに耐えることができますが、柔らかいもので擦っても簡単に傷がついてしまうという弱点があるのです。このためポリカーボネート材料は表面にコーティングを施すことで傷がつきにくいように加工した上で使用されています。最近ではコーティングによって6H以上もの引っかき硬さを持つポリカーボネート樹脂が自動車のランプカバーや液晶ディスプレイなどに利用されています。